TEMUで「スマホ(スマートフォン本体)」の取り扱いが始まったという情報があります。2024年6月頃から米国、英国、フランスなどの一部の国・地域でスマートフォンの販売を開始したと報じられています。
これまでのTEMUの製品ラインナップからすると、かなり大きな変化であり、購入を検討する際にはより慎重な判断が必要です。
TEMUでスマートフォンを購入する際の注意点
TEMUでスマートフォン本体を購入することは、一般的な家電量販店や公式ストアで購入するのとは大きく異なります。特に以下の点に細心の注意を払いましょう。
1. 「技適マーク」の有無と日本の電波法
スマートフォンは無線通信機器であるため、日本国内で使用するには「技適マーク」(技術基準適合証明)が付与されていることが必須です。
- 電波法違反のリスク: 技適マークのないスマートフォンを日本国内で使用することは電波法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
- 確認方法: 商品ページに技適マークの画像や「技術基準適合証明取得済み」といった明確な記載があるか、入念に確認してください。TEMUで販売される安価なスマホの場合、技適マークがない可能性が高いと推測されます。
2. 品質と安全性(PSEマーク、バッテリーなど)
スマートフォンにはリチウムイオンバッテリーが内蔵されており、充電器などにも電気用品安全法が適用されます。
- PSEマーク: 日本国内で販売される特定の電気用品(充電器、バッテリーなど)にはPSEマークが必要です。スマホ本体にもPSEマークが表示されていることがあります。このマークがない製品は、発熱、発火、爆発といった重大な事故につながる危険性があります。
- バッテリーの劣化・粗悪品: 安価なスマホの場合、バッテリーの品質が低く、劣化が早かったり、安全性に問題があったりするリスクがあります。
- 耐久性: 本体や部品の耐久性が低く、短期間で故障する可能性があります。
3. 個人情報保護とセキュリティリスク
スマートフォンの購入は、他の日用品とは比較にならないほどセキュリティリスクが高い取引になります。
- 「情報が抜かれる」懸念: TEMUアプリ自体の個人情報収集に関する懸念は既に指摘されていますが、スマホ本体となると、OSレベルでのデータ収集、プリインストールされているアプリによる情報抜き取りなど、より深いレベルでのリスクが考えられます。
- 不正なソフトウェア: 安価な海外製スマホには、意図しないアプリがプリインストールされていたり、セキュリティホールが存在したりするリスクがあります。これにより、個人情報が抜き取られたり、不正にデバイスを操作されたりする可能性があります。
- メーカーの信頼性: TEMUで販売されるスマホは、サムスンやシャオミといった主要ブランドの在庫モデルが中心と報じられていますが、それらの販売店が正規ルートかどうか、あるいは無名メーカーの製品が含まれる可能性も考慮する必要があります。
4. アフターサービスと保証
- メーカー保証: 公式ストアや正規代理店で購入する場合と異なり、TEMU経由での購入では、メーカー保証が適用されない、あるいは非常に限定的である可能性があります。
- 修理・サポート: 故障した場合の修理対応や、技術的なサポートは期待できないことが多いでしょう。
5. ネットワークバンドとSIMロック
- 対応周波数帯(バンド): 日本の主要キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)が使用している周波数帯(バンド)に、購入するスマホが対応しているかを確認する必要があります。対応していない場合、電波が掴みにくい、通信速度が遅い、最悪の場合通信できないといった問題が発生します。
- SIMロック: 海外の特定のキャリア向けにSIMロックされている可能性は低いですが、念のため確認が必要です(現代のスマホはほとんどSIMフリーですが、安価なモデルでは注意)。
6. 返品・返金の難易度
- TEMUには90日以内の返品・返金保証がありますが、高額なスマートフォンとなると、返品手続きがより複雑になったり、初期不良の証明が難しかったりする可能性があります。
まとめ
TEMUでスマートフォンの購入を検討する場合、その破格の安さは非常に魅力的です。しかし、「技適マークの有無」という日本の法律上の最も重要な要件を筆頭に、品質、安全性(バッテリーの危険性、PSEマーク)、個人情報保護、アフターサービスなど、他のカテゴリの商品とは比較にならないほどの重大なリスクが伴います。
安易な購入は、法律違反、健康被害、個人情報の漏洩、そして金銭的な損失につながる可能性があります。もしTEMUでスマートフォンを購入する場合は、上記の注意点をすべてクリアしているか入念に確認し、それでもリスクがあることを十分に理解した上で、自己責任で行う必要があります。
安全性や長期的な利用を考えるのであれば、多少コストがかかっても、国内の正規販売店や信頼できるメーカーのスマートフォンを選ぶことを強くおすすめします。
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